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酸化プロピレン

製品安全データシート

酸化プロピレン (1,2-エポキシプロパン)

作成日 2014年4月10日

改訂日 2014年4月10日

1.化学物質等及び会社情報

化学物質等の名称 :酸化プロピレン (1,2-エポキシプロパン)、(1,2-Epoxypropane)

酸化プロピレン 

炎急性毒性健康有害性

製品コード      :0000000

会社名        :猫でもできるケミカル株式会社
住所             :вулиця Фрунзе1000,Бахчисарай, Крим, Україна
電話番号          :999-1234-5678
緊急時の電話番号    :999-1234-5678
FAX番号           :999-1234-5678
メールアドレス       :office_mbm@kikenbutu.ve

推奨用途及び使用上の制限
プロピレングリコール、プロピレングリコールエーテルの原料 (Ullmanns(E) (6th, 2003)) ポリウレタン用ポリエーテル、潤滑油、界面活性剤、油水分離剤 (HSDB (2010))

 


2.危険有害性の要約

GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
  可燃性・引火性ガス 分類対象外
  可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
  高圧ガス 分類対象外
引火性液体 区分1
  可燃性固体 分類対象外
  自己反応性化学品 分類対象外
  自然発火性液体 区分外
  自然発火性固体 分類対象外
  自己発熱性化学品 区分外
  水反応可燃性物質 分類対象外
  酸化性液体 分類対象外
  酸化性固体 分類対象外
  有機過酸化物 分類対象外
  金属腐食性物質 区分外
健康に対する有害性 急性毒性(経口) 区分4
  急性毒性(経皮) 区分3
  急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
  急性毒性(吸入:蒸気) 区分4
  急性毒性(吸入:粉じん) 区分外
  急性毒性(吸入:ミスト) 分類できない
  皮膚腐食性・刺激性 区分2
  眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分1
  呼吸器感作性 分類できない
  皮膚感作性 区分1
  生殖細胞変異原性 区分2
  発がん性 区分2
  生殖毒性 区分2
  特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用)
  特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露) 分類できない
  吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境に対する有害性 水生環境急性有害性 区分3
  水生環境慢性有害性 区分外
分類実施日
  • H23.3.15、政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7月版)を使用

 

注意喚起語
  • 危険

 

危険有害性情報
  • 極めて引火性の高い液体および蒸気
  • 飲み込むと有害(経口)
  • 吸入すると有害(蒸気)
  • 皮膚に接触すると有害(経皮)
  • アレルギー性皮膚炎を起こすおそれ
  • 遺伝性疾患のおそれの疑い
  • 発がんのおそれの疑い
  • 生殖能または胎児への悪影響のおそれの疑い
  • 呼吸器への刺激のおそれ
  • 眠気やめまいのおそれ
  • 水生生物に有毒

 

注意書き

【安全対策】

  • 熱、火花、裸火、高温のもののような着火源から遠ざけること。-禁煙。
  • 容器を密閉しておくこと。
  • 容器を接地すること、アースをとること。
  • 防爆型の電気機器、換気装置、照明機器等を使用すること。
  • 火花を発生させない工具を使用すること。
  • 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
  • 適切な保護手袋、保護眼鏡、保護面を着用すること。
  • 取扱い後はよく手を洗うこと。
  • この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
  • 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
  • 屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。
  • 使用前に取扱説明書を入手すること。
  • すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
  • 適切な個人用保護具を使用すること。
  • ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
  • 環境への放出を避けること。

【応急措置】

  • 皮膚または髪に付着した場合、直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、取り除くこと。
  • 皮膚に付着した場合、流水・シャワーで石けんを用いて洗うこと。
  • 火災の場合には適切な消火方法をとること。
  • 飲み込んだ場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
  • 飲み込んだ場合、口をすすぐこと。
  • 吸入した場合、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
  • 吸入した場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
  • 眼に入った場合、水で15分以上注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
  • 眼に入った場合、眼の刺激が続く場合は、医師の診断、手当てを受けること。
  • 皮膚刺激または発疹が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。
  • 汚染された衣類を再使用す場合には洗濯をすること。
  • ばく露またはばく露の懸念がある場合、医師の診断、手当てを受けること。
  • 気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。

【保管】

  • 換気の良い冷暗所に保管すること。
  • 施錠して保管すること。
  • 容器は密閉しておくこと。

【廃棄】

  • 内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に委託すること。

3.組成及び成分情報

公表化学物質

化学名又は一般名: 酸化プロピレン (1,2-エポキシプロパン)

別名: プロピレンオキシド、(Propylene oxide)、メチルオキシラン、(Methyloxyrane)、2‐メチルオキシラン、(2-Methyloxirane)、1,2‐エポキシプロパン、(1,2-Epoxypropane)

化学式: C3H6O

分子量: 58.08

化学特性(化学式又は構造式): 構造式は上図を参照すること

CAS番号: 75-56-9

官報公示整理番号(化審法・安衛法): (2)-219

分類に寄与する不純物及び安定化添加物: データなし

濃度又は濃度範囲: 100%


4.応急措置

吸入した場合

  • ただちに新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
  • 気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。

皮膚に付着した場合

  • 皮膚を速やかに流水・シャワーで洗浄すること。
  • 脱いだ衣類を再使用する前に洗濯し汚染除去すること。
  • 気分が悪い時は、医師を呼ぶこと。

眼に入った場合

  • 水で数分間注意深く洗うこと。
  • コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
  • 眼の刺激が続く場合:医師の診断、手当てを受けること。

飲み込んだ場合

  • 口をすすぎ、うがいをすること。
  • 無理に吐かせないこと。(吐かせることにより再びのどに刺激や損傷を受ける。また、蒸気圧が高い為、蒸気などが気道を刺激や損傷を受けるだけではなく、肺に達して出血性肺炎を引き起こす危険がある)
  • ただちに医師の診断、手当てを受けること。

予想される急性症状及び遅発性症状

  • 吸入:咳、咽頭痛
  • 皮膚:発赤、痛み
  • 眼:発赤、痛み
  • 経口摂取 : 吐き気、嘔吐、咽頭痛

最も重要な兆候及び症状

  • データ無し

応急措置をする者の保護

  • 火気に注意する。
  • 有機溶剤用の保護面体、防護手袋があればそれを着用する。有機溶剤用の防護マスクと防護メガネでも可。

医師に対する特別注意事項

  • データ無し

5.火災時の措置

消火剤

  • 二酸化炭素、粉末消火剤、水噴霧、耐アルコール性泡消火剤、ハロゲン化物

使ってはならない消火剤

  • 棒状注水(本品があふれ出て火災拡大の危険性がある)

特有の危険有害性

  • 極めて燃え易い、熱、火花、火炎で容易に発火する。
  • 蒸気は空気よりも重く地面あるいは床に沿って移動することがあり、屋内、屋外、下水溝などで遠距離引火する場合がある。
  • 火災によって刺激性、毒性のガスを発生するおそれがある。
  • 静電気で引火する恐れがある。
  • 加熱により容器が爆発するおそれがある。

特有の消火方法

  • 水噴霧によって逆に火災が広がるおそれがある場合には、上記に示す消火剤のうち、水噴霧以外の適切な消火剤を利用すること。
  • 水噴霧以外の消火剤で効果が無い場合は、散水する。
  • 消火活動は有効に行える距離からの無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。
  • 火災発生場所周辺に関係者以外の立ち入りを禁止する。
  • 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
  • 移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。
  • 消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。

消火を行う者の保護

  • 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置

人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

  • 漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
  • 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
  • 関係者以外の立入りを禁止する。
  • 作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
  • 漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性の高い、不浸透性の保護衣を着用する。
  • 風上に留まる。
  • 低地から離れる。
  • 密閉された場所に立入る前に換気する。

環境に対する注意事項

  • 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
  • 海上で薬剤を使用する場合は国土交通省の規定に適合すること。

回収、中和

  • 乾燥土、砂や不燃材料で吸収し、あるいは覆って密閉できる空容器に回収する。
  • 回収後は廃棄処分とする。
  • 大量の場合、盛土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いて回収する。

封じ込め及び浄化の方法・機材

  • 危険でなければ漏れを止める。
  • 漏出物を取扱うとき用いる全ての設備は接地する。

二次災害の防止策

  • すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
  • 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。

7.取扱い及び保管上の注意

取扱い

技術的対策

  • 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。

局所排気・全体換気

  • 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行なう。

安全取扱い注意事項

  • 周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。
  • 容器を転倒させ、落下させ、衝撃を加え、又は引きずるなどの取扱いをしてはならない。
  • 接触、吸入又は飲み込んではならない。
  • 眼との接触を避ける。
  • 屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
  • この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
  • 取扱い後はよく手を洗うこと。

接触回避

  • 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管

技術的対策

  • 保管場所は壁、柱、床を耐火構造とし、かつ、はりを不燃材料で作ること。
  • 保管場所は屋根を不燃材料で作るとともに、金属板その他の軽量な不燃材料でふき、かつ天井を設けないこと。
  • 保管場所の床は、床面に水が浸入し、又は浸透しない構造とすること。
  • 保管場所の床は、危険物が浸透しない構造とするとともに、適切な傾斜をつけ、かつ、適切なためますを設けること。
  • 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
  • 保管場所で使用する電気器具類は防爆構造とし、器具類は設置する。

保管条件

  • 熱、火花、裸火のような着火源から離して保管すること。-禁煙。
  • 容器を密閉して換気の良いところで貯蔵すること。
  • 冷所、換気の良い場所で貯蔵すること。
  • 保管容器には不活性ガスを封入すること。
  • 容器は直射日光や火気を避けること。
  • 施錠して貯蔵すること。

混触危険物質

  • 「10.安定性及び反応性」を参照。

容器包装材料

  • ガラス、フッ素樹脂、鋼、ステンレス鋼、アルミニウム

8.ばく露防止及び保護措置

管理濃度

  • 2ppm

許容濃度(ばく露限界値、生物学的ばく露指標)

  • 日本産業衛生学会(2012年版) 設定されていない
  • ACGIH(2012年版) TLV-TWA 2ppm SEN:A3
  • OSHA PEL(2010年版) TWA 100ppm 240mg/m3

設備対策

  • 防爆の電気、換気、照明機器を使用すること。
  • 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
  • 完全密閉系及び完全密閉装置でのみ取り扱うこと。
  • この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
  • ミスト、蒸気が発生する場合は換気装置を設置する。

保護具

  • 呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
  • 手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
  • 眼の保護具: 保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型)
  • 皮膚及び身体の保護具: 長袖作業着の着用、必要に応じて保護面体、保護長靴を着用すること。
    (一切の接触を防止するにはネオプレン製の、手袋、エプロン、ブーツ、又は全体スーツ等の不浸透性の防具を適宜着用すること)

衛生対策

  • この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
  • 取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質

物理的状態、形状、色など

  • 無色液体 (Merck2006)(ICSC1995)

臭い

  • エーテル臭 (HSDB2010)

pH

  • データなし

融点・凝固点

  • -112.13℃(HSDB2010)

沸点、初留点及び沸騰範囲

  • 34.23℃(HSDB2010)

引火点

  • -37℃(密閉式)(NFPA2006)

自然発火温度

  • 465℃(NFPA2006)

燃焼性(固体、ガス)

  • データ無し

爆発範囲

  • 下限 2.1vol%、上限 37vol%(NFPA2006)

蒸気圧

  • 442mmHg(20℃)(NFPA2006)

蒸気密度(空気 = 1)

  • 2.054(EU-RAR23 2002)

比重(密度)

  • 0.8304 (20℃/20℃)(HSDB2010)

溶解度

  • 40.5g/100mL(20℃)(ICSC1995)
    アセトン、ベンゼン、四塩化炭素、メタノール、エーテルと混和(HSDB2010)

オクタノール/水分配係数

  • log Kow = 0.03(PHYSPROP Database2010)

分解温度

  • データなし

蒸発速度(酢酸ブチル = 1)

  • データなし

粘度

  • 0.34 mm2/s (25 ℃)(IPCS2009)

10.安定性及び反応性

安定性

  • 法規制に従った保管及び取り扱いにおいては安定である。

危険有害反応可能性

  • 銅、その他アセチレンを生成する金属は腐食される。
  • 鉄、スズ及びアルミニウムの無水塩化物、酸、アルカリ、酸化鉄、酸化アルミニウム等との混合接触により重合して発熱することがある。。
  • 塩素、アンモニア、強酸化剤及び酸と激しく反応して、火災や爆発の危険をもたらす。
  • 空気又は酸素と接触している状態で、圧力や熱を加えると、その蒸気は分解爆発する恐れがある。

避けるべき条件

  • 火炎、高温、火花、スパーク、日光、高圧

混触危険物質

  • 鉄、スズ及びアルミニウムの無水塩化物、酸、アルカリ、酸化鉄、酸化アルミニウム、強酸化剤
  • ゴムやプラスチック類(塩ビ、ポリスチレン等)を侵す。

危険有害な分解生成物

  • 爆発性過酸化物

11.有害性情報

急性毒性

  • 経口 ラット  LD50 1140mg/kg 520mg/kg (EHC56 1985)、930mg/kg (環境省リスク評価 第3巻 (2004)に基づき区分4とした。(GHS分類:区分4)
  • 経皮 ウサギ  LD50 950mg/kg (EU-RAR23 2002)、1245mg/kg (ACGIH2001)に基づき区分3とした。(GHS分類:区分3)
  • 吸入(ガス) GHS定義における液体である。
  • 吸入(蒸気) ラット  LD50 (4時間ばく露) 4000 ppm (EHC56 1985)。なお、LD50(4000 ppm)が飽和蒸気圧濃度(707894.7 ppm)の90%より低いので、気体の区分基準値を適用した。(GHS分類:区分4)
  • 吸入(ミスト) データ無し

皮膚腐食性・刺激性

  • ウサギの皮膚に試験物質の原液、20%および10%水溶液をそれぞれ1~60分適用した試験において、6分以上のばく露で紅斑と浮腫、より厳しいばく露条件下では瘢痕形成が生じたことから、短時間のばく露が刺激を起こす可能性が示唆された(EU RAR23 2002)。一方、ウサギの皮膚に4時間の半閉塞適用による別の試験では、ばく露中皮膚表面から試験物質が揮発した可能性を否定できないが、1、2、8日後の観察で紅斑も浮腫も認められなかった(EU RAR23 2002)。以上の結果から、総合的に言えば、本物質(液体)は皮膚との接触により局所刺激を起こすものと思われる(EU RAR23 2002)。なお、本物質の腐食性を示唆するデータは得られていない(EU RAR23 2002)。(GHS分類:区分2)

眼に対する重篤な損傷・眼刺激性

  • 眼に事故によるばく露を受けた3人のヒトが、角膜と結膜に熱傷を生じたとの報告(EU RAR23 2002)、また、ヒトで角膜の熱傷が報告されており、本物質は眼に重度の刺激を起こす(ACGIH 2001)、さらに、動物試験において、ウサギに本物質の原液5μlを角膜中央部に単回適用により、壊死を伴う重度の熱傷を起こした(EHC 56 1985)。(GHS分類:区分1)

呼吸器感作性又は皮膚感作性

  • 呼吸器感作性:データなし。(GHS分類:分類できない)
    皮膚感作性:ACGIH 2001)でSEN 皮膚感作性:に分類されている。尚、本物質のばく露を受けアレルギー性接触皮膚炎などの皮膚症状を示したヒトで、パッチテストにより陽性反応がみられたとの報告が2件(NITE初期リスク評価書2007)ある。(GHS分類:区分1)

生殖細胞変異原性

  • マウス、及びラットを用いた吸入および経口投与による優性致死試験(生殖細胞in vivo 経世代変異原性試験)で陰性(NITE初期リスク評価書2007)であったが、腹腔内投与したマウスの骨髄細胞を用いた染色体異常試験、及び小核試験(体細胞を用いるin vivo 変異原性試験)で陽性(初期リスク評価書 Ver. 1.0, 47 (2007))の報告があり、生殖細胞を用いるin vivo 遺伝毒性試験の陽性データは無い。なお、in vitro試験として、エームス試験で陰性または陽性、ラット肝細胞およびヒトリンパ球を用いた染色体異常試験では陽性(NITE初期リスク評価書2007)。(GHS分類:区分2)

発がん性

  • NTP (2005)でR、IARC (1994)でGroup 2B、ACGIH (2001)でA3、EPA (1994)でB2に分類されている。尚、マウスを用い103週間吸入ばく露した試験において雌雄の400 ppm ばく露群で鼻腔の血管腫の発生が有意に増加し、雄の400 ppm ばく露群では、鼻腔の血管肉腫の発生が有意に増加した。またラットを用い103週間吸入ばく露した試験において雌雄の400 ppm ばく露群に鼻腔の扁平上皮がんが、雌の400 ppm ばく露群で鼻腔の乳頭腺腫の発生率が有意に増加した。鼻腔上皮の扁平上皮がんは、400 ppm のばく露で雌雄とも有意であるが、200 ppm ばく露群では対照群と有意差はなかった(NITE初期リスク評価書 Ver. 1.0, 47 2007) (NTP試験)。(GHS分類:区分2)

生殖毒性

  • ラットに交配前3週間から妊娠1~16日に500 ppmを蒸気ばく露により、親動物の有意な体重増加抑制とともに、対照群と比べ黄体数が減少、その結果として着床数および生存胎仔数の減少が見られ、かつ、波状肋骨のような軽微な異常の発生率が増加した(EU-RAR23 2002)。さらに、ウサギの器官形成期に500 ppmの蒸気ばく露試験では、母動物に摂餌量と体重増加の軽度低下が認められた一方、吸収胚数の増加が観察された(DFGMAK-Doc. 5 1993)。以上より、親動物が体重増加抑制を示した用量で、ラットでは着床数および生存胎仔数の減少、ウサギでは吸収胚数の増加など生殖毒性が観察されている。なお、経口投与された雄ラットの50%が不妊を呈したとの結果については、著しい一般毒性の発現がみられたLD50値に近い用量のため、明確な結論は得られない(EU-RAR 23 2002)。(GHS分類:区分2)

特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)

  • ラットを用いた吸入毒性試験において呼吸困難、鼻からの出血が認められた(NITE初期リスク評価書2007)。また、ラットおよびモルモットに2000~1600 ppmを0.25~7時間吸入ばく露した試験で死亡はなく、症状所見において、し眠、協調運動障害が含まれている。(GHS分類:区分3(気道刺激性、麻酔作用))

特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)

  • ラットを用いた24週間の吸入毒性試験において、0.71mg/l(区分2のガイダンス値内)の濃度では悪影響は認められなかった(EPA-RAR2006)との報告があり、また、ラットに26週間飲水投与した試験において、0.52mg/kg(区分2のガイダンス値内)で血液学検査、血液生化学検査で異常が認められた(EHC56 1985)との報告はあるがその程度、病理学検査についての記載が無い。(GHS分類:データ不足により分類できない)

吸引性呼吸器有害性

  • データなし。(GHS分類:分類できない)

12.環境影響情報

水生環境急性有害性

  • 魚類(ニジマス)の96時間LC50=52mg/L(EU-RAR 2002、NITE初期リスク評価書 2007)。(GHS分類:区分3)

水生環境慢性有害性

  • 急速分解性があり(BODによる分解度:96%(既存点検, 1988))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.03(PHYSPROP Database、2009))。(GHS分類:区分外)

オゾン層への有害性

  • 当該物質はモントリオール議定書の付属書に列記されていない。(GHS分類:分類できない)

13.廃棄上の注意

残余廃棄物

  • 廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低下させること。
  • 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
  • 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに産業廃棄物管理表(マニフェスト)を交付して委託処理する。
  • 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。

汚染容器及び包装

  • 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
  • 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意

国際規制
海上規制情報
  • IMOの規定に従う。

UN No.

  • 1280

Proper Shipping Name

  • PROPYLENE OXIDE

Class

  • 3

Packing Group

  • I

Marine Pollutant

  • Not applicable
航空規制情報
  • ICAO/IATAの規定に従う。

UN No.

  • 1280

Proper Shipping Name

  • Propylene oxide

Class

  • 3

Packing Group

  • I
国内規制
陸上規制情報
  • 消防法の規定に従う。
海上規制情報
  • 船舶安全法の規定に従う。

国連番号

  • 1280

品名

  • 酸化プロピレン

クラス

  • 3

容器等級

  • I

海洋汚染物質

  • 非該当
航空規制情報
  • 航空法の規定に従う。

国連番号

  • 1280

品名

  • 酸化プロピレン

クラス

  • 3

等級

  • I

特別の安全対策

  • 危険物は当該危険物が転落し、又は危険物を収納した運搬容器が落下し、転倒もしくは破損しないように積載すること。
  • 危険物又は危険物を収納した容器が著しく摩擦又は動揺を起こさないように運搬すること。
  • 危険物の運搬中、危険物が著しく漏れる等災害が発生するおそれがある場合には、災害を防止するための応急措置を講ずると共に、もよりの消防機関その他の関係機関に通報すること。
  • 食料品や飼料と一緒に輸送してはならない。
  • 移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令

法令情報

化審法

  • 優先評価化学物質、旧第2種監視化学物質(法第2条第5項)

労働安全衛生法

  • 名称等を通知すべき有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)(政令番号 第194号)
  • 名称等を表示すべき有害物(法第57条、施行令第18条)(政令番号 第9号の13)
  • 特定化学物質第2類物質、特定第2類物質(特定化学物質障害予防規則第2条第1項第3号)
  • 特定化学物質特別管理物質(特定化学物質障害予防規則第38条の3)
  • 変異原性が認められた既存化学物質(法第57条の5、労働基準局長通達)

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

  • 第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)(政令番号:第68号)

消防法

  • 第4類引火性液体、特殊引火物(法第2条第7項危険物別表第1・第4類)

大気汚染防止法

  • 有害大気汚染物質(法第2条第13項、環境庁通知)

海洋汚染防止法

  • 有害液体物質(Y類物質)(施行令別表第1)

船舶安全法

  • 引火性液体類(危規則第3条危険物告示別表第1)

航空法

  • 引火性液体(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報

参考文献

各データごとに記載。

 →  

その他参考文献

ICSCより転記

国際化学物質安全性カード

プロピレンオキシド ICSC番号:0192

プロピレンオキシド
PROPYLENE OXIDE
1,2-Epoxypropane
Methyloxirane
Methyl ethylene oxide
Propene oxide
C3H6O / CH3CHCH2O
分子量:58.1
CAS登録番号:75-56-9
RTECS番号:TZ2975000
ICSC番号:0192
国連番号:1280
EC番号:603-055-00-4
災害/
暴露のタイプ
一次災害/
急性症状
予防 応急処置/
消火薬剤
火災 引火性がきわめて高い。加熱すると、破裂の危険を伴う圧力上昇が起こる。
裸火禁止、火花禁止、禁煙
水溶性液体用泡消火薬剤、泡消火薬剤。水噴霧は不可
爆発 蒸気/空気の混合気体は爆発性である。
密閉系、換気、防爆型電気および照明設備。帯電を防ぐ(例えばアースを使用)。充填、取り出し、取り扱い時に圧縮空気を使用してはならない。防爆用工具を使用する。
火災時:水を噴霧して容器類を冷却する。
身体への暴露
作業環境管理を厳密に

吸入 咳、咽頭痛。
換気、局所排気、または呼吸用保護具。
新鮮な空気、安静。体調がよくないと感じた場合は、医療機関に連絡する。
皮膚 発赤。
保護手袋、保護衣。
汚染された衣服を脱がせる。多量の水かシャワーで皮膚を洗い流す。
発赤、痛み。
安全ゴーグルまたは眼用保護具と呼吸用保護具の併用。
多量の水で洗い流す(できればコンタクトレンズをはずして)。医療機関に連絡する。
経口摂取 咽頭痛。
作業中は飲食、喫煙をしない。
口をすすぐ。吐かせない。呼吸困難や発熱がみられる場合、医師に相談する。
漏洩物処理 貯蔵 包装・表示
・危険区域から立ち退く! 
・専門家に相談する! 
・すべての発火源を取り除く。
・個人用保護具:自給式呼吸器付完全保護衣。
・換気。
・漏れた液を密閉式の乾燥容器に集める。
・残留液を乾燥砂または不活性吸収剤に吸収させて安全な場所に移す。

・耐火設備(条件)。
・酸、塩基および強酸化剤から離しておく。
・乾燥。
・涼しい場所。
・密封。
・暗所に保管。

・破損しない包装。破損しやすい包装のものは密閉式の破損しない容器に入れる。
・EU分類
 記号 : F+, T
 R : 45-46-12-20/21/22-36/37/38
 S : 53-45
 Note : E
・国連危険物分類(UN Hazard Class):3
・国連包装等級(UN Packing Group):I
・GHS分類
  注意喚起語:危険
  シンボル:炎-感嘆符-健康有害性
  きわめて引火性の高い液体および蒸気
  飲み込むと有害
  皮膚に接触すると有害
  蒸気を吸入すると有害
  皮膚刺激
  眼刺激
  遺伝性疾患のおそれの疑い
  発がんのおそれの疑い
  呼吸器系への刺激のおそれ
  飲み込んで気道に侵入すると有害のおそれ

重要データは次ページ参照
ICSC番号:0192 Prepared in the context of cooperation between the International Programme on Chemical Safety & the Commission of the European Communities © IPCS CEC 1993












国際化学物質安全性カード

プロピレンオキシド ICSC番号:0192











物理的状態; 外観:
特徴的な臭気のある、揮発性の高い無色の液体

物理的危険性:
蒸気は空気より重い。地面あるいは床に沿って移動することがある。遠距離引火の可能性がある。流動、撹拌などにより、静電気が発生することがある。

化学的危険性:
塩基、酸、金属塩化物の影響下で激しく重合することがあり、火災または爆発の危険を伴う。塩素、アンモニア、強酸化剤と激しく反応し、火災および爆発の危険をもたらす。

許容濃度:
TLV:2 ppm (TWA);A3(動物実験では発がん性が確認されているが、人との関連は不明な物質);SEN(感作物質) (ACGIH 2009)。

MAK:皮膚吸収(H); 発がん性カテゴリー:2 (DFG 2009)。

暴露の経路:
体内への吸収経路:吸入および経皮、経口摂取。

吸入の危険性:
20℃で気化すると、空気が汚染されてきわめて急速に有害濃度に達することがある。

短期暴露の影響:
眼、皮膚および気道を刺激する。飲み込むと嘔吐することがあり、誤嚥性肺炎をおこす。

長期または反復暴露の影響:
反復または長期の皮膚への接触により、皮膚炎を引き起こすことがある。人で発がん性を示す可能性がある。

物理的性質
・沸点:34℃
・融点:-112℃
・比重(水=1):0.83
・水への溶解度:40 g/100 ml(20℃)
・蒸気圧:59 kPa(20℃)
・相対蒸気密度(空気=1):2.0
・20℃での蒸気/空気混合気体の相対密度(空気=1):1.6
・粘度:0.34 mm2/s (25 ℃)
・引火点:37℃(c.c.)
・発火温度:430℃
・爆発限界:1.9~36.3 vol%(空気中)
・log Pow (オクタノール/水分配係数):0.03
環境に関する
データ

作業衣を家に持ち帰ってはならない
NFPA(米国防火協会)コード:H(健康危険性)3;F(燃焼危険性)4;R(反応危険性)2;
付加情報


ICSC番号:0192
更新日2009.11
プロピレンオキシド
© IPCS, CEC, 1993