製品安全データシート
メタノール(Methanol)
作成日 2014年4月24日
改訂日 2014年4月24日
1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称 :メタノール、(Methanol)
製品コード :0000000
会社名 :猫でもできるケミカル株式会社
住所 :вулиця
Фрунзе1000,Бахчисарай, Крим, Україна
電話番号 :999-1234-5678
緊急時の電話番号 :999-1234-5678
FAX番号 :999-1234-5678
メールアドレス :office_mbm@kikenbutu.ve
推奨用途及び使用上の制限
ホルマリン・酢酸・メチルメタクリレート・DMT・MTBE・クロロメタン類などの原料、塗料・電子工業用などの溶剤
2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 |
火薬類 |
分類対象外 |
|
可燃性・引火性ガス |
分類対象外 |
|
可燃性・引火性エアゾール |
分類対象外 |
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支燃性・酸化性ガス |
分類対象外 |
|
高圧ガス |
分類対象外 |
|
引火性液体 |
区分2 |
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可燃性固体 |
分類対象外 |
|
自己反応性化学品 |
分類対象外 |
|
自然発火性液体 |
区分外 |
|
自然発火性固体 |
分類対象外 |
|
自己発熱性化学品 |
分類できない |
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水反応可燃性物質 |
分類対象外 |
|
酸化性液体 |
分類対象外 |
|
酸化性固体 |
分類対象外 |
|
有機過酸化物 |
分類対象外 |
|
金属腐食性物質 |
分類できない |
健康に対する有害性 |
急性毒性(経口) |
区分4 |
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急性毒性(経皮) |
区分外 |
|
急性毒性(吸入:ガス) |
分類対象外 |
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急性毒性(吸入:蒸気) |
区分外 |
|
急性毒性(吸入:粉じん) |
分類対象外 |
|
急性毒性(吸入:ミスト) |
分類できない |
|
皮膚腐食性・刺激性 |
区分1A |
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眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 |
区分2 |
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呼吸器感作性 |
分類できない |
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皮膚感作性 |
区分外 |
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生殖細胞変異原性 |
区分外 |
|
発がん性 |
分類できない |
|
生殖毒性 |
区分1B |
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特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露) |
区分1(中枢神経系、視覚器、全身毒性) |
|
|
区分1(麻酔作用、気道刺激性) |
|
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露) |
区分1(中枢神経系、視覚器) |
|
吸引性呼吸器有害性 |
分類できない |
環境に対する有害性 |
水生環境急性有害性 |
区分外 |
|
水生環境慢性有害性 |
区分外 |
分類実施日
H22.2.19、政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)を使用
注意喚起語
危険有害性情報
- 引火性の高い液体及び蒸気
- 飲み込むと有害
- 強い眼刺激
- 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
- 視覚器、全身毒性、中枢神経系の障害
- 眠気やめまいのおそれ
- 長期又は反復ばく露による視覚器、中枢神経系の障害
注意書き
【安全対策】
- 熱、火花、裸火、高温のもののような着火源から遠ざけること。-禁煙。
- 容器を密閉しておくこと。
- 容器を接地すること、アースをとること。
- 防爆型の電気機器、換気装置、照明機器等を使用すること。
- 火花を発生させない工具を使用すること。
- 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
- 適切な保護手袋、保護眼鏡、保護面を着用すること。
- 取扱い後はよく手を洗うこと。
- この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
- 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
- 屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。
- 使用前に取扱説明書を入手すること。
- すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
- 適切な個人用保護具を使用すること。
- ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
- 環境への放出を避けること。
【応急措置】
- 皮膚または髪に付着した場合、直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、取り除くこと。
- 皮膚に付着した場合、流水・シャワーで石けんを用いて洗うこと。
- 火災の場合には適切な消火方法をとること。
- 飲み込んだ場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
- 飲み込んだ場合、口をすすぐこと。
- 吸入した場合、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
- 吸入した場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
- 眼に入った場合、水で15分以上注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
- 眼に入った場合、眼の刺激が続く場合は、医師の診断、手当てを受けること。
- 皮膚刺激または発疹が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。
- 汚染された衣類を再使用す場合には洗濯をすること。
- ばく露またはばく露の懸念がある場合、医師の診断、手当てを受けること。
- 気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
【保管】
- 換気の良い冷暗所に保管すること。
- 施錠して保管すること。
- 容器は密閉しておくこと。
【廃棄】
- 内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に委託すること。
3.組成及び成分情報
公表化学物質
化学名又は一般名: メタノール(Methanol)
別名: メチルアルコール (Methyl alcohol)、木精、(Wood alcohol)
化学式: CH3OH
分子量: 32.04
化学特性(化学式又は構造式): 構造式は上図を参照すること
CAS番号: 67-56-1
EC番号: 203-659-6
官報公示整理番号(化審法・安衛法): (2)-201
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: データなし
濃度又は濃度範囲: 99.0%以上
4.応急措置
吸入した場合
- ただちに新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
- 気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
-
呼吸困難又は呼吸が停止しているときは直ちに人工呼吸を一方向弁付人工呼吸用具を用いて行う。一方向弁付人工呼吸用具が無いときは胸部圧迫を行う。直接人工呼吸は避けること。
皮膚に付着した場合
- 皮膚を速やかに流水・シャワーで洗浄すること。
- 脱いだ衣類を再使用する前に洗濯し汚染除去すること。
- 気分が悪い時は、医師を呼ぶこと。
眼に入った場合
- 水で数分間注意深く洗うこと。
- コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
- 眼の刺激が続く場合:医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合
- 口をすすぎ、うがいをすること。
-
無理に吐かせないこと。(吐かせることにより再びのどに刺激や損傷を受ける。また、蒸気圧が高い為、蒸気などが気道を刺激や損傷を受けるだけではなく、肺に達して出血性肺炎を引き起こす危険がある)
-
被害者に意識がない場合、口から何も与えてはならない。
- ただちに医師の診断、手当てを受けること。
予想される急性症状及び遅発性症状
- 吸入:咳、めまい、頭痛、吐き気、脱力感、視力障害。
- 皮膚:皮膚の乾燥、発赤。
- 眼:発赤、痛み。
- 経口摂取:腹痛、息切れ、嘔吐、痙攣、意識喪失、咳、めまい、頭痛、吐き気、脱力感、視力障害。
最も重要な兆候及び症状
- 眼、皮膚、気道を刺激する。
- 意識を喪失することがある。
- 失明することがあり、場合によっては死に至る。
- 持続性あるいは反復性の頭痛、視力障害を生じることがある。
応急措置をする者の保護
- 火気に注意する。
- 有機溶剤用の保護面体、防護手袋があればそれを着用する。有機溶剤用の防護マスクと防護メガネでも可。
医師に対する特別注意事項
5.火災時の措置
消火剤
- 二酸化炭素、粉末消火剤、水噴霧、耐アルコール性泡消火剤、ハロゲン化物
使ってはならない消火剤
- 棒状注水(本品があふれ出て火災拡大の危険性がある)
特有の危険有害性
- 極めて燃え易い、熱、火花、火炎で容易に発火する。
- 蒸気は空気よりも重く地面あるいは床に沿って移動することがあり、屋内、屋外、下水溝などで遠距離引火する場合がある。
- 火災によって刺激性、毒性のガスを発生するおそれがある。
- 静電気で引火する恐れがある。
- 加熱により容器が爆発するおそれがある。
- 消火水は汚染を引き起こす恐れがある。
特有の消火方法
- 火災発生場所周辺に関係者以外の立ち入りを禁止する。
- 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
- 移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。
- 消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
消火を行う者の保護
- 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。
6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置
- 漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
- 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
- 関係者以外の立入りを禁止する。
- 作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
- 漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性の高い、不浸透性の保護衣を着用する。
- 風上に留まる。
- 低地から離れる。
- 密閉された場所に立入る前に換気する。
環境に対する注意事項
- 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
- 海上で薬剤を使用する場合は国土交通省の規定に適合すること。
回収、中和
- 乾燥土、砂や不燃材料で吸収し、あるいは覆って密閉できる空容器に回収する。
- 回収後は廃棄処分とする。
- 大量の場合、盛土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いて回収する。
封じ込め及び浄化の方法・機材
- 危険でなければ漏れを止める。
- 漏出物を取扱うとき用いる全ての設備は接地する。
二次災害の防止策
- すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
- 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策
- 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気
- 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項
- 周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。
- 容器を転倒させ、落下させ、衝撃を加え、又は引きずるなどの取扱いをしてはならない。
- 接触、吸入又は飲み込んではならない。
- 眼との接触を避ける。
- 屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
- この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
- 取扱い後はよく手を洗うこと。
接触回避
保管
技術的対策
- 保管場所は壁、柱、床を耐火構造とし、かつ、はりを不燃材料で作ること。
- 保管場所は屋根を不燃材料で作るとともに、金属板その他の軽量な不燃材料でふき、かつ天井を設けないこと。
- 保管場所の床は、床面に水が浸入し、又は浸透しない構造とすること。
- 保管場所の床は、危険物が浸透しない構造とするとともに、適切な傾斜をつけ、かつ、適切なためますを設けること。
- 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
- 保管場所で使用する電気器具類は防爆構造とし、器具類は設置する。
保管条件
- 熱、火花、裸火のような着火源から離して保管すること。-禁煙。
- 容器を密閉して換気の良いところで貯蔵すること。
- 冷所、換気の良い場所で貯蔵すること。
- 容器は直射日光や火気を避けること。
- 施錠して貯蔵すること。
混触危険物質
容器包装材料
- 消防法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。
- ガラス等
8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度
許容濃度(ばく露限界値、生物学的ばく露指標)
- 日本産業衛生学会(2010年版) 200ppm 260mg/m3
- ACGIH(2010年版) TLV-TWA 200ppm 260mg/m3
TLV-STEL 250ppm
- OSHA 8H TWA 200ppm(260mg/m3)
- NIOSH REL 10H TWA 200ppm(皮膚)、STEL 250ppm(皮膚)
設備対策
- 防爆の電気、換気、照明機器を使用すること。
- 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
- この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
- 局所または全体換気装置を設置する。
保護具
- 呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
- 手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
- 眼の保護具: 保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型)
- 皮膚及び身体の保護具: 長袖作業着の着用、必要に応じて保護面体、保護長靴を着用すること。
(一切の接触を防止するにはブチルゴム製又はテフロン製の、手袋、エプロン、ブーツ、又は全体スーツ等の不浸透性の防具を適宜着用すること)
衛生対策
- この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
- 取扱い後はよく手を洗うこと。
9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など
臭い
pH
融点・凝固点
沸点、初留点及び沸騰範囲
引火点
自然発火温度
燃焼性(固体、ガス)
爆発範囲
- 下限 5.5vol%、上限 44vol%(ICSC2000)
蒸気圧
蒸気密度(空気 = 1)
比重(密度)
溶解度
- 水に混和(ICSC2000)
- エタノール、ジエチルエーテル、ベンゼンに混和する(溶ける)。
オクタノール/水分配係数
- log Kow = -0.82、-0.66(ICSC2000)
分解温度
蒸発速度(酢酸ブチル = 1)
粘度
10.安定性及び反応性
安定性
危険有害反応可能性
-
この物質の蒸気と空気はよく混合し、爆発性混合物を生成しやすい。
-
酸化剤と激しく反応し、火災や爆発の危険をもたらす。
避けるべき条件
混触危険物質
危険有害な分解生成物
- 加熱分解により、一酸化炭素、二酸化炭素、ホルムアルデヒド。
11.有害性情報
急性毒性
- 経口 ラットLD50=6,200
mg/kg(EHC196 1997)および9,100 mg/kg(EHC196
1997)から区分外と判断されるが、メタノールの毒性はげっ歯類に比べ霊長類には強く現れるとの記述があり(EHC196
1997)、ヒトで約半数に死亡が認められる用量が1,400 mg/kgであるとの記述(DFGOT2001)があることから、区分4とした。
- 経皮 モルモットLD50=15,800mg/kg(DFGO2001)に基づき、区分外とした。
- 吸入(ガス) GHS定義における液体である。
- 吸入 (蒸気) ラットLC50 >22,500
ppm(4時間換算値:31,500 ppm)(DFGO2001)から区分外とした。なお、飽和蒸気圧濃度は116,713
ppmVであることから気体の基準値で分類した。
- 吸入(ミスト) データ無し
皮膚腐食性・刺激性
-
ウサギに20時間閉塞適用の試験で刺激性がみられなかった(DFGO2001)とする未発表データの報告はあるが、皮膚刺激性試験データがなく分類できない。なお、ウサギに24時間閉塞適用後、中等度の刺激性ありとする報告もあるがメタノールによる脱脂作用の影響と推測されている(DFGO2001)。
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性
-
ウサギを用いたDraize試験で、適用後24時間、48時間、72時間において結膜炎は平均スコア(2.1)が2以上であり、4時間まで結膜浮腫が見られた(スコア2.00)が72時間で著しく改善(スコア0.50)した(EHC196
1997)。しかし、7日以内に回復しているかどうか不明なため、細区分せず区分2とした。
呼吸器感作性又は皮膚感作性
- 呼吸器感作性:データがないため、分類できないとした。
- 皮膚感作性:モルモットを用いた皮膚感作性試験(Magnusson-Kligman maximization
test)で感作性は認められなかったとの報告(EHC196
1997)に基づき、区分外とした。なお、ヒトのパッチテストで陽性反応の報告が若干あるが、他のアルコールとの交差反応、あるいはアルコール飲用後の紅斑など皮膚反応の可能性もあり、メタノールが感作性を有するとは結論できないとしている(DFGOT2001)。
生殖細胞変異原性
- マウス赤血球を用いたin vivo小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)において、吸入ばく露で陰性(EHC196
1997)、腹腔内投与で陰性(DFGOT2001)(PATTY2001)、であることから区分外とした。なお、マウスリンフォーマ試験の代謝活性化(S9+)のみで陽性結果(EHC196
1997)(DFGOT2001)はあるが、その他Ames試験(EHC196
1997)(DFGOT2001)(PATTY2001)やマウスリンフォーマ試験(EHC196
1997)(DFGOT2001)やCHO細胞を用いた染色体異常試験(DFGOT2001)などin vitro変異原性試験では陰性であった。
発がん性
- 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による未発表報告ではラット・マウス・サルの試験で発がん性なしとしている(EHC196
1997)。また、ラットを用いた8週齢より自然死するまで飲水投与した試験で、雌雄に頭部と頸部のがん及び雌に血液リンパ網内系腫瘍の発生が有意かつ用量依存的に増加したと報告されている(ACGIH2009)。しかし腫瘍の判定が標準的方法と異なり、動物の自然死後に行われていないため、評価あるいは比較が困難と考えられる。以上の相反する情報により分類できない。
生殖毒性
-
妊娠マウスの器官形成期に吸入ばく露した試験において、胎児吸収、脳脱出などが見られ(PATTY2001)、さらに別の吸入または経口ばく露による試験でも口蓋裂を含め、同様の結果が得られている(EHC196
1997)(DFGOT2001)。メタノールの生殖への影響に関して、証拠の重みに基づく健康障害としての科学的判断がなされ、ヒトのデータは欠如しているが動物による影響は明確な証拠があることから、ばく露量が十分であればメタノールがヒトの発生に悪影響を及ぼす可能性があると結論されている(NTP-CERHR
Monograph 2003)。以上によりヒトに対して発生毒性が疑われる物質とみなされるので区分1Bとした。
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)
-
ヒトの急性中毒症状として中枢神経系抑制が見られ、血中でのギ酸の蓄積により代謝性アシドーシスに至る。そして視覚障害、失明、頭痛、めまい、嘔気、嘔吐、頻呼吸、昏睡などの症状があり、時に死に至ると記述されている(DFGOT2001)(EHC196
1997)。また、中枢神経系の障害、とくに振せん麻痺様錐体外路系症状の記載(DFGOT2001)もあり、さらに形態学的変化として脳白質の壊死も報告されている(DFGOT2001)。これらのヒトの情報に基づき区分1(中枢神経系)とした。標的臓器としてさらに、眼に対する障害が特徴的であるので視覚器を、また、代謝性アシドーシスを裏付ける症状として頭痛、嘔気、嘔吐、頻呼吸、昏睡などの記載もあるので全身毒性をそれぞれ採用した。一方、マウスおよびラットの吸入ばく露による所見に「麻酔」が記載され(EHC196
1997)(PATTY2001)、ヒトの急性中毒に関する所見にも、中枢神経系の抑制から麻酔作用が生じていると記述されている(PATTY2001)ので、区分3(麻酔作用)とした。
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)
-
ヒトの低濃度メタノールの長期ばく露の顕著な症状は広範な眼に対する障害だったとする記述(EHC196
1997)や職業上のメタノールばく露による慢性毒性影響として、失明がみられたとの記述(ACGIH2001)から区分1(視覚器)とした。また、メタノール蒸気に繰り返しばく露することによる慢性毒性症例に頭痛、めまい、不眠症、胃障害が現れたとの記述(ACGIH2001)から、区分1(中枢神経系)とした。なお、ラットを用いた経口投与試験で肝臓重量変化や肝細胞肥大(PATTY2001)(IRIS2005)などの報告があるが適応性変化と思われ採用しなかった。
吸引性呼吸器有害性
12.環境影響情報
水生環境急性有害性
- 魚類(ブルーギル)での96時間LC50 =
15,400mg/L(EHC196 1998)、甲殻類 (ブラウンシュリンプ) での96時間LC50
= 1,340mg/L(EHC196 1998)であることから、区分外とした。
水生環境慢性有害性
- 難水溶性でなく(水溶解度=1.00×106mg/L(PHYSPROP-Database2005)、急性毒性が低いことから、区分外とした。
オゾン層への有害性
- 当該物質はモントリオール議定書の付属書に列記されていない。(GHS分類:分類できない)
13.廃棄上の注意
残余廃棄物
- 廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低下させること。
- 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
- 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに産業廃棄物管理表(マニフェスト)を交付して委託処理する。
- 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装
- 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
- 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。
14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報
UN No.
Proper Shipping Name
Class
SubRisk
Packing Group
Marine Pollutant
航空規制情報
UN No.
Proper Shipping Name
Class
SubRisk
Packing Group
国内規制
陸上規制情報
海上規制情報
国連番号
品名
クラス
副次リスク
容器等級
海洋汚染物質
航空規制情報
国連番号
品名
クラス
副次リスク
等級
特別の安全対策
- 危険物は当該危険物が転落し、又は危険物を収納した運搬容器が落下し、転倒もしくは破損しないように積載すること。
- 危険物又は危険物を収納した容器が著しく摩擦又は動揺を起こさないように運搬すること。
-
危険物の運搬中、危険物が著しく漏れる等災害が発生するおそれがある場合には、災害を防止するための応急措置を講ずると共に、もよりの消防機関その他の関係機関に通報すること。
-
食料品や飼料と一緒に輸送してはならない。
- 移送時にイエローカードの保持が必要。
緊急時応急措置指針番号:131
15.適用法令
法令情報
化審法
- 優先評価化学物質No90 (官報公示日2012/03/22)
労働基準法
労働安全衛生法
- 名称等を通知すべき有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)(政令番号 第560号)
- 名称等を表示すべき有害物(法57条1、施行令第18条)(政令番号:36)
- 危険物・引火性のもの(施行令別表第1第4号)
- 第2種有機溶剤等(施行令別表第6の2・有機溶剤中毒予防規則第1条第1項第4号)
- 作業環境評価基準・作業環境測定基準
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)
毒劇物取締法
消防法
- 第4類引火性液体、アルコール類水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1・第4類)
大気汚染防止法
- 特定物質「メタノール」(政令第10条第16号)有害大気汚染物質「メタノール」(中環審第9次答申の208)
海洋汚染防止法
水質汚濁防止法
悪臭防止法
船舶安全法
- 引火性液体類(危規則第2・3条危険物告示別表第1)
航空法
- 引火性液体(施行規則第194条危険物告示別表第1)
麻薬向精神薬取締法
16.その他の情報
参考文献
各データごとに記載。