製品安全データシート
トルエン (Toluene)
作成日 2014年4月10日
改訂日 2014年4月10日
1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称 :トルエン (Toluene)
製品コード :0000000
会社名 :猫でもできるケミカル株式会社
住所 :вулиця
Фрунзе1000,Бахчисарай, Крим, Україна
電話番号 :999-1234-5678
緊急時の電話番号 :999-1234-5678
FAX番号 :999-1234-5678
メールアドレス :office_mbm@kikenbutu.ve
推奨用途及び使用上の制限
染料、香料、火薬(TNT)、有機顔料、合成クレゾール、甘味料、漂白剤、TDI、テレフタル酸、合成繊維、可塑剤などの合成原料、ベンゼン原料、キシレン原料、石油精製、医薬品、塗料・インキ溶剤等
2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 |
火薬類 |
分類対象外 |
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可燃性・引火性ガス |
分類対象外 |
|
可燃性・引火性エアゾール |
分類対象外 |
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支燃性・酸化性ガス |
分類対象外 |
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高圧ガス |
分類対象外 |
|
引火性液体 |
区分2 |
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可燃性固体 |
分類対象外 |
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自己反応性化学品 |
分類対象外 |
|
自然発火性液体 |
区分外 |
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自然発火性固体 |
分類対象外 |
|
自己発熱性化学品 |
区分外 |
|
水反応可燃性物質 |
分類対象外 |
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酸化性液体 |
分類対象外 |
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酸化性固体 |
分類対象外 |
|
有機過酸化物 |
分類対象外 |
|
金属腐食性物質 |
区分外 |
健康に対する有害性 |
急性毒性(経口) |
区分外 |
|
急性毒性(経皮) |
区分外 |
|
急性毒性(吸入:ガス) |
分類対象外 |
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急性毒性(吸入:蒸気) |
区分4 |
|
急性毒性(吸入:粉じん) |
区分外 |
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急性毒性(吸入:ミスト) |
分類できない |
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皮膚腐食性・刺激性 |
区分2 |
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眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 |
区分1A |
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呼吸器感作性 |
分類できない |
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皮膚感作性 |
分類できない |
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生殖細胞変異原性 |
分類できない |
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発がん性 |
区分外 |
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生殖毒性 |
区分1A |
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特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露) |
区分1(中枢神経系) |
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区分3(気道刺激性、麻酔作用) |
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特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露) |
区分1(中枢神経系、腎臓) |
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吸引性呼吸器有害性 |
区分1 |
環境に対する有害性 |
水生環境急性有害性 |
区分2 |
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水生環境慢性有害性 |
区分3 |
分類実施日
- H23.3.15、政府向けGHS分類ガイダンス(H22.7月版)を使用
- GHS改訂4版を使用
- GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用
注意喚起語
危険有害性情報
- 極めて引火性の高い液体および蒸気
- 吸入すると有害(蒸気)
- 皮膚刺激
- 眼刺激
- 授乳中の子に害を及ぼす恐れ
- 生殖能または胎児への悪影響のおそれの疑い
- 臓器の障害(中枢神経系)
- 呼吸器への刺激のおそれ
- 眠気やめまいのおそれ
- 長期にわたる、または反復暴露による臓器の障害(中枢神経系、腎臓)
- 飲み込んで軌道に侵入すると生命に危険の恐れ
- 水生生物に有毒
注意書き
【安全対策】
- 熱、火花、裸火、高温のもののような着火源から遠ざけること。-禁煙。
- 容器を密閉しておくこと。
- 容器を接地すること、アースをとること。
- 防爆型の電気機器、換気装置、照明機器等を使用すること。
- 火花を発生させない工具を使用すること。
- 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
- 適切な保護手袋、保護眼鏡、保護面を着用すること。
- 取扱い後はよく手を洗うこと。
- この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
- 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
- 屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。
- 使用前に取扱説明書を入手すること。
- すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
- 適切な個人用保護具を使用すること。
- ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
- 環境への放出を避けること。
【応急措置】
- 皮膚または髪に付着した場合、直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、取り除くこと。
- 皮膚に付着した場合、流水・シャワーで石けんを用いて洗うこと。
- 火災の場合には適切な消火方法をとること。
- 飲み込んだ場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
- 飲み込んだ場合、口をすすぐこと。
- 吸入した場合、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
- 吸入した場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
- 眼に入った場合、水で15分以上注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
- 眼に入った場合、眼の刺激が続く場合は、医師の診断、手当てを受けること。
- 皮膚刺激または発疹が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。
- 汚染された衣類を再使用す場合には洗濯をすること。
- ばく露またはばく露の懸念がある場合、医師の診断、手当てを受けること。
- 気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
【保管】
- 換気の良い冷暗所に保管すること。
- 施錠して保管すること。
- 容器は密閉しておくこと。
【廃棄】
- 内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に委託すること。
3.組成及び成分情報
公表化学物質
化学名又は一般名: トルエン
別名: トルオール、1-メチルベンゼン、メチルベンゼン、Toluol、1-Mehtylbenzene、Methylbenzene
化学式: C7H8
分子量: 92.14
化学特性(化学式又は構造式): 構造式は上図を参照すること
CAS番号: 108-88-3
官報公示整理番号(化審法・安衛法): (3)-2、(3)-60
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: データなし
濃度又は濃度範囲: 99%
4.応急措置
吸入した場合
- ただちに新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
- 気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
皮膚に付着した場合
- 皮膚を速やかに流水・シャワーで洗浄すること。
- 脱いだ衣類を再使用する前に洗濯し汚染除去すること。
- 気分が悪い時は、医師を呼ぶこと。
眼に入った場合
- 水で数分間注意深く洗うこと。
- コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
- 眼の刺激が続く場合:医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合
- 口をすすぎ、うがいをすること。
-
無理に吐かせないこと。(吐かせることにより再びのどに刺激や損傷を受ける。また、蒸気圧が高い為、蒸気などが気道を刺激や損傷を受けるだけではなく、肺に達して出血性肺炎を引き起こす危険がある)
-
被害者に意識がない場合、口から何も与えてはならない。
- ただちに医師の診断、手当てを受けること。
予想される急性症状及び遅発性症状
- 吸入:咳、咽頭痛、めまい、嗜眠、頭痛、吐き気、意識喪失。気道を刺激する。中枢神経系に影響を与えることがある。
- 皮膚:皮膚の乾燥、発赤。この液体は皮膚の脱脂を起こす。
- 眼:発赤、痛み。眼を刺激する。中枢神経系に影響を与えることがある。
- 経口摂取 :
灼熱感、腹痛。咳、咽頭痛、めまい、嗜眠、頭痛、吐き気、意識喪失。この液体を飲み込むと、誤嚥により化学性肺炎を起こす危険がある。高濃度の場合、不整脈、意識喪失を起こすことがある。
長期または反復暴露の影響:この液体は皮膚の脱脂を起こす。中枢神経系に影響を与えることがある。騒音による聴力障害を促進する。動物試験では人で生殖・発生毒性を引き起こす可能性があることが示されている。
最も重要な兆候及び症状
応急措置をする者の保護
- 火気に注意する。
- 有機溶剤用の保護面体、防護手袋があればそれを着用する。有機溶剤用の防護マスクと防護メガネでも可。
医師に対する特別注意事項
5.火災時の措置
消火剤
- 二酸化炭素、粉末消火剤、水噴霧、耐アルコール性泡消火剤、ハロゲン化物
使ってはならない消火剤
- 棒状注水(本品があふれ出て火災拡大の危険性がある)
特有の危険有害性
- 極めて燃え易い、熱、火花、火炎で容易に発火する。
- 蒸気は空気よりも重く地面あるいは床に沿って移動することがあり、屋内、屋外、下水溝などで遠距離引火する場合がある。
- 火災によって刺激性、毒性のガスを発生するおそれがある。
- 静電気で引火する恐れがある。
- 加熱により容器が爆発するおそれがある。
特有の消火方法
- 水噴霧によって逆に火災が広がるおそれがある場合には、上記に示す消火剤のうち、水噴霧以外の適切な消火剤を利用すること。
- 水噴霧以外の消火剤で効果が無い場合は、散水する。
- 火災発生場所周辺に関係者以外の立ち入りを禁止する。
- 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
- 移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。
- 消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
消火を行う者の保護
- 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。
6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置
- 少量の場合は、土、砂、ウェスなどで吸収し取り除いた後に、大量の水で洗い流す。
- 漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
- 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
- 関係者以外の立入りを禁止する。
- 作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
- 漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性の高い、不浸透性の保護衣を着用する。
- 風上に留まる。
- 低地から離れる。
- 密閉された場所に立入る前に換気する。
環境に対する注意事項
- 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
- 海上で薬剤を使用する場合は国土交通省の規定に適合すること。
回収、中和
- 乾燥土、砂や不燃材料で吸収し、あるいは覆って密閉できる空容器に回収する。
- 回収後は廃棄処分とする。
- 大量の場合、盛土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いて回収する。
封じ込め及び浄化の方法・機材
- 危険でなければ漏れを止める。
- 漏出物を取扱うとき用いる全ての設備は接地する。
二次災害の防止策
- すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
- 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策
- 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気
- 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項
- 周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。
- 容器を転倒させ、落下させ、衝撃を加え、又は引きずるなどの取扱いをしてはならない。
- 接触、吸入又は飲み込んではならない。
- 眼との接触を避ける。
- 屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
- この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
- 取扱い後はよく手を洗うこと。
接触回避
保管
技術的対策
- 保管場所は壁、柱、床を耐火構造とし、かつ、はりを不燃材料で作ること。
- 保管場所は屋根を不燃材料で作るとともに、金属板その他の軽量な不燃材料でふき、かつ天井を設けないこと。
- 保管場所の床は、床面に水が浸入し、又は浸透しない構造とすること。
- 保管場所の床は、危険物が浸透しない構造とするとともに、適切な傾斜をつけ、かつ、適切なためますを設けること。
- 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
- 保管場所で使用する電気器具類は防爆構造とし、器具類は設置する。
保管条件
- 熱、火花、裸火のような着火源から離して保管すること。-禁煙。
- 容器を密閉して換気の良いところで貯蔵すること。
- 冷所、換気の良い場所で貯蔵すること。
- 容器は直射日光や火気を避けること。
- 施錠して貯蔵すること。
混触危険物質
容器包装材料
- アルミニウム、フェライト系およびオーステナイト系鋼類、銅基遷移金属合金類。プラスチック類は耐久性の立証が必要。
- ゴムは不適。
8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度
許容濃度(ばく露限界値、生物学的ばく露指標)
- 日本産業衛生学会(2012年版) 50ppm 188mg/m3 経皮吸収
- ACGIH(2012年版) TLV-TWA 20ppm A4;BEI
設備対策
- 防爆の電気、換気、照明機器を使用すること。
- 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
- この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
- 局所または全体換気装置を設置する。
保護具
- 呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
- 手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
- 眼の保護具: 保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型)
- 皮膚及び身体の保護具: 長袖作業着の着用、必要に応じて保護面体、保護長靴を着用すること。
(一切の接触を防止するにはネオプレン製の、手袋、エプロン、ブーツ、又は全体スーツ等の不浸透性の防具を適宜着用すること)
衛生対策
- この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
- 取扱い後はよく手を洗うこと。
9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など
- 無色液体 (Merck2006)(ウルマンの工業化学百科事典2003)
臭い
pH
融点・凝固点
沸点、初留点及び沸騰範囲
引火点
自然発火温度
燃焼性(固体、ガス)
爆発範囲
- 下限 1.27vol%、上限 7vol%(IMDG2010)
蒸気圧
蒸気密度(空気 = 1)
比重(密度)
溶解度
- 526mg/L(25℃)(水)(Merck2006)
-
ほとんどの有機溶剤(例えば、アルコール類、エーテル類、ケトン類、フェノール類、エステル類および塩化炭化水素類)に完全混和。(ウルマンの工業化学百科事典2003)
オクタノール/水分配係数
分解温度
蒸発速度(酢酸ブチル = 1)
粘度
- 0.560mPa・s(25℃)、 0.424(50℃)mPa・s(CRC2010)
10.安定性及び反応性
安定性
- 法規制に従った保管及び取り扱いにおいては安定である。
危険有害反応可能性
- 塩強酸化剤及び酸と激しく反応して、火災や爆発の危険をもたらす。
避けるべき条件
混触危険物質
- 強酸化剤
- ゴムやプラスチック類(塩ビ、ポリスチレン等)を侵す。
危険有害な分解生成物
11.有害性情報
急性毒性
- 経口 ラットLD50値として、7件のデータ
[5,000 mg/kg(環境省リスク評価 第1巻2002)、5,580 mg/kg(EU-RAR2003)、5,900
mg/kg、6.4g/kg、7.53g/kg(以上3件 EHC52 1985)、7.0g/kg(JECFA518 1981)、7,300mg/kg
(ATSDR2000)]は全て区分外に該当する。なお、若齢動物のデータは分類に採用しなかった。GHS分類:区分外
- 経皮 ラットのLD50値は12,000
mg/kg(ACGIH2007)、ウサギのLD50値は14,100 mg/kg(ACGIH2007)または12,400
mg/kg(EU-RAR2003)と報告され、いずれも区分外に該当する。 GHS分類:区分外
- 吸入(ガス) GHS定義における液体である。
- 吸入 (蒸気):ラットの4時間ばく露によるLC50値として、6件のデータ[7460 ppm、3,319-7,646
ppm、8,762 ppm(以上3件 EU-RAR2003)、4,000 ppm、8,000 ppm、8,800 ppm(以上3件
PATTY2001)]はいずれも区分4に該当する。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(37,368
ppm)の90%より低いため、ミストがほとんど混在しない蒸気として気体の基準値を適用した。 GHS分類:区分4
- 吸入(ミスト) データ無し
皮膚腐食性・刺激性
-
ウサギ7匹に試験物質0.5mLを4時間の半閉塞適用した試験(Annex V, method
B2)において、適用後72時間までに全動物が軽微~重度の紅斑、軽度の浮腫を示し、7日目には全動物に明瞭~重度の紅斑、5匹に軽微~軽度の浮腫が観察され、中等度の刺激性(moderately
irritating)と評価された結果(EU-RAR2003)に基づき、区分2とした。なお、ウサギ6匹を用いた別の皮膚刺激性試験(OECD-TG404)では、データの詳細が不明であるが軽度の刺激性(slightly
irritating)との報告(EU-RAR2003)、また、モルモットに本物質原液0.5mLを24時間の閉塞適用した試験では、痂皮形成がみられ、5日後に皮膚の厚い鱗屑層と皮膚表面に軽度の裂け目が観察されたとの報告(EU-RAR2003)もある。
GHS分類:区分2
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性
-
ウサギ6匹に試験物質0.1mLを適用した試験(OECD-TG405、GLP)において、適用1時間後に結膜の発赤、浮腫、排出物が全動物で観察され、24、48時間後も症状は持続したが、その後減弱し72時間後には発赤のみ、7日目には全て消失し、軽度の刺激性(slight
eye
irritation)と結論されている(EU-RAR2003)ことから、区分2Bとした。なお、ウサギを用いた別の眼刺激性試験(OECD-TG405)では、刺激性の総合評点MMAS(AOIに相当)は9(最大値110に対し)(ECETOC-TR48(2)
(1998))との報告もあり、このスコアは区分外に相当する。また、ヒトへの影響として、誤って本物質を眼にかけられた労働者が、結膜の刺激性や角膜の損傷などの眼上皮に一過性の障害を示したが、48時間以内に完全に回復した(EHC52
1985)との報告がある。GHS分類:区分2B
呼吸器感作性又は皮膚感作性
- 呼吸器感作性:データなし。(GHS分類:分類できない)
-
モルモットのマキシマイゼーション試験(EUguidelineB6、GLP)において、50%溶液による惹起処置に対し、20匹中1匹に反応が認められたのみで陽性率は5%(1/20)の結果から、この試験で本物質は皮膚感作性物質ではないと結論付けられた(EU-RAR2003)こと、さらに、ヒトにおいて、トルエンは皮膚感作性物質ではない(PATTY2001)との記載もあることから、区分外とした。
GHS分類:区分外
生殖細胞変異原性
- マウスに経口または吸入投与した優性致死試験(生殖細胞in vivo変異原性試験)において2件の陰性結果(NITE初期リスク評価書 .87
(2006))、マウスまたはラットに経口、吸入または腹腔内投与した骨髄細胞を用いた染色体異常試験(体細胞in
vivo変異原性試験)において5件の陰性結果(NITE初期リスク評価書 .87 2006、EHC52
1985、EU-RAR2003)、マウスに経口または腹腔内投与した骨髄細胞を用いた小核試験(体細胞in
vivo変異原性試験)において2件の陰性結果(NITE初期リスク評価書 87 (2006)、NTP-DB (Access on Apr.
2012))、がそれぞれ報告されている。以上より区分外とした。なお、ラットに皮下投与した骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陽性結果の報告があるが、、トルエンの純度、および異常の判断基準が明確でないため評価困難である(NITE初期リスク評価書
87 (2006))と記載されていることから、採用しなかった。さらにin
vivo試験では、遺伝毒性試験としてマウスまたはラットに腹腔内または吸入投与した姉妹染色分体交換試験で陰性(NITE初期リスク評価書 87
(2006))または陽性(EHC52 1985)の結果、一方、in vitro試験ではエームス試験で陰性(NITE初期リスク評価書 .87
(2006)、NTP-DB1979)、マウスリンフォーマ試験で陽性(NITE初期リスク評価書 87
(2006))、染色体異常試験および小核試験では陰性または陽性の結果(NITE初期リスク評価書 87 (2006)、NTP-DB (Access
on Apr. 2012))が報告されている。 GHS分類:区分外
発がん性
- IARCの発がん性評価でグループ3(IARC71
1999)、ACGIHでA4(ACGIH2007)、U.S.EPAでグループD(IRIS2007)に分類されていることから、「分類できない」とした。なお、ラットおよびマウスに103週間吸入ばく露(6.5
hours/day、ラット 0 or 600 or 1,200ppm、マウス 0 or 120 or 600, or
1,200ppm)した発がん性試験では、両動物種とも雌雄で発がん性の証拠は認められなかった(NTP-TR371 1990))と報告されている。
GHS分類:分類できない
生殖毒性
-
ヒトにおいて、トルエンを高濃度または長期吸引した妊婦に早産、児に小頭、耳介低位、小鼻、小顎、眼瞼裂など胎児性アルコール症候群類似の顔貌、成長阻害や多動など(NITE初期リスク評価書
87 (2006)、IARC71
1999)報告され、また、1982~1982年にカナダで300例の奇形について行われた疫学調査の結果、芳香族溶媒、特にトルエンの職業ばく露歴を持つ女性の間では先天奇形増加のリスクが高かった(ACGIH2007)ことが報告されている。さらに、溶媒のばく露を一定期間モニターされていた女性のコホートで自然流産の調査(ケース・コントロール研究)が行われ、少なくとも週3回トルエンにばく露された女性の間で自然流産のオッズ比が増加し、トルエンばく露の危険性がを示された(IARC71
1999)。以上のヒトでのばく露知見に基づき、区分1Aとした。また、「トルエンは容易に胎盤を通過し、また母乳に分泌される」(SIDS(J)
(Access on Apr.
2012))との記載により、「追加区分:授乳に対する又は授乳を介した影響」とした。なお、動物試験では、ラットに交配前から妊娠期間にかけての期間、または妊娠期間中の吸入ばく露により胎仔死亡の胚・胎仔死亡の増加、自然分娩した場合には生存出生仔数の有意な減少が認められている(EU-RAR2003)、NITE初期リスク評価書
87 (2006))が、催奇形性は報告されていない。 GHS分類:区分1A、追加区分:授乳に対する又は授乳を介した影響
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)
-
ヒトで750mg/m3を8時間の吸入ばく露で筋脱力、錯乱、協調障害、散瞳、3,000ppmでは重度の疲労、著しい嘔気、精神錯乱など、さらに重度の事故によるばく露では昏睡に至っている(IARC47
1989)。また、本物質を含むシンナーを誤って経口摂取し死亡した15件の事例報告があり、大量のトルエンを摂取し30分後に死亡した51歳男性の場合、死因はおそらく重度の中枢神経系抑制であった(IRIS
tox.
Review2005)と報告されている。本物質を含む塗料シンナーを約1クォート摂取した46歳男性の事例では、重度の腹痛、下痢、胃出血と共に重度の中枢神経系の抑制を示したが、36時間の維持療法後に回復を示した(IRIS
tox.
Review2005)。以上の外にも本物質の中枢神経系に対する影響は多数報告され、区分1(中枢神経系)とした。一方、ヒトで本物質は高濃度の急性ばく露で容易に麻酔作用を起こし、本物質蒸気により意識を喪失した労働者の事例が多いことは周知である(EHC52
1985)ことに加え、動物試験ではマウスまたはラットに吸入ばく露後に麻酔作用が報告されている(IARC47
1989)ことから、区分3(麻酔作用)とした。さらに、低濃度(200ppm)のばく露されたボランティアが一過性の軽度の上気道刺激を示した(PATTY
(5th, 2001))との報告により、区分3(気道刺激性)とした。 GHS分類:区分1(中枢神経系)、区分3(気道刺激性、麻酔作用)
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)
-
トルエンに平均29年間曝露されていた印刷労働者30名と対照者72名の疫学調査研究で、疲労、記憶力障害、集中困難、情緒不安定、その他に神経衰弱性症状が対照群に比して印刷労働者に有意に多く、神経心理学的テストでも印刷労働者の方が有意に成績が劣った。また、トルエン嗜癖者に運動失調、共同運動障害、手足の振せん、大脳のびまん性萎縮が認められ、MRI検査では大脳、小脳、脳幹部のびまん性萎縮、中枢神経系全般の灰白質と白質の差異の不鮮明化等が認められた(産業医学
36巻
(1994))。特に高濃度曝露で中枢神経系の機能障害と同時に脳の萎縮、脳の白質の変化などの形態学的変化も生じることが報告されている(産業医学
36巻
(1994))。その他にも本物質ばく露による中枢神経系障害の発生は数多くの報告があり、区分1(中枢神経系)とした。一方、嗜癖でトルエンを含有した溶剤を吸入していた19歳男性で、悪心嘔吐が続き入院し、腎生検で間質性腎炎が認められ腎障害を示した症例(産業医学
36巻 (1994))、トルエンの入った溶剤を飲んでいた26歳の男性で、急性腎不全を来たし、トルエンの腎毒性とみなされた症例(産業医学 36巻
(1994))、さらに、嗜癖でトルエンを吸入し四肢麻痺で入院した17歳女性が尿細管性アシドーシスと診断され、四肢麻痔はトルエン中毒による腎尿細管障害の結果生じたものとされた症例(産業医学
36巻
(1994))など、多くの事例報告がある。以上より、区分1(腎臓)とした。なお、動物試験では、ラット、マウスに経口または吸入による反復投与試験において、ガイダンス値範囲内に相当する用量で悪影響の所見は報告されていない(NITE初期リスク評価書
87 (2006)、EU-RAR2003、EHC52
1985)。また、ヒトで、トルエンのばく露で肝障害の指標である肝酵素の上昇がみられたとする報告は1件あるが、逆にみられなかったとする報告もあり(EU-RAR2003)、動物では、ラットおよびマウスによる経口および吸入による反復試験で、共にガイダンス値範囲内で肝臓への悪影響は報告されていないことから肝臓は分類の根拠にしなかった。
GHS分類:区分1(中枢神経系、腎臓)
吸引性呼吸器有害性
-
炭化水素であり、動粘性率は0.86mm2/s(40℃)(計算値:粘度0.727mPa・s(Renzo1986)、密度0.8483g/mL(CRC2010)として計算)である。よって区分1とした。また、ヒトで、吸引性の液体トルエンが肺組織と直接接触すると、重度の刺激、即ち「化学肺炎」を引き起こすとの記載(DFGMAK-Doc.7
1996)もある。GHS分類:区分1
12.環境影響情報
水生環境急性有害性
- 魚 情報なし
- 甲殻類 ブラウンシュリンプ EC50 3.5mg/L/96H (EU-RAR2003)
- 藻類 情報なし
- 水生生物に毒性(区分2)
水生環境慢性有害性
- 慢性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(良分解性)、甲殻類(Ceriodaphnia
dubia)の7日間NOEC=0.74mg/L(NITE初期リスク
評価書,2006)であることから、区分3となる。慢性毒性データが得られていない栄養段階に
対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性があり(良分解性)、生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=2.73(PHYSPROP
Database
ことから、区分外となる。以上の結果を比較し、区分3を採用した。
オゾン層への有害性
- 当該物質はモントリオール議定書の付属書に列記されていない。(GHS分類:分類できない)
13.廃棄上の注意
残余廃棄物
- 廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低下させること。
- 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
- 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに産業廃棄物管理表(マニフェスト)を交付して委託処理する。
- 廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装
- 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
- 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。
14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報
UN No.
Proper Shipping Name
Class
Packing Group
Marine Pollutant
航空規制情報
UN No.
Proper Shipping Name
Class
Packing Group
国内規制
陸上規制情報
海上規制情報
国連番号
品名
クラス
容器等級
海洋汚染物質
航空規制情報
国連番号
品名
クラス
等級
特別の安全対策
- 危険物は当該危険物が転落し、又は危険物を収納した運搬容器が落下し、転倒もしくは破損しないように積載すること。
- 危険物又は危険物を収納した容器が著しく摩擦又は動揺を起こさないように運搬すること。
-
危険物の運搬中、危険物が著しく漏れる等災害が発生するおそれがある場合には、災害を防止するための応急措置を講ずると共に、もよりの消防機関その他の関係機関に通報すること。
-
食料品や飼料と一緒に輸送してはならない。
- 移送時にイエローカードの保持が必要。
緊急時応急措置指針番号:130
15.適用法令
法令情報
化審法
- 優先評価化学物質、旧第2種監視化学物質(法第2条第5項)
労働基準法
- 疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号)
労働安全衛生法
- 名称等を通知すべき有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)(政令番号 第407号)
- 名称等を表示すべき有害物(法第57条、施行令第18条23号)
- 危険物・引火性のもの(施行令別表第1第4号)
- 第二種有機溶剤等(施行令別表第6の2・有機溶剤中毒予防規則第1条第1項第4号)
- 作業環境基準・作業環境評価基準
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)
毒劇物取締法
- 劇物「トルエン」(指定令第2条第76の2号)包装等級Ⅲ
消防法
- 第4類引火性液体、第1石油類非水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1・第4類)
大気汚染防止法
- 有害大気汚染物質(中央環境審議会答申第9次 別添1、2-3別表1の141)
海洋汚染防止法
水質汚濁防止法
- 生活環境項目(施行令第3条第1項)
- 指定物質(施行令第3条第3項)
悪臭防止法
麻薬向精神薬取締法
- 麻薬向精神薬原料(トルエンを50%を超えて含有する物)
船舶安全法
- 引火性液体類(危規則第2・3条危険物告示別表第1)
航空法
- 引火性液体(施行規則第194条危険物告示別表第1)
16.その他の情報
参考文献
各データごとに記載。