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危険物取扱者に必要な基礎物理学 状態変化

沸騰とは?沸点とは?

沸騰

一定の圧力下で液体を加熱し続けると、表面からの蒸発だけではなく内部から蒸発が起こり、気泡となって表面に現れる、激しい蒸発現象のことを沸騰と言います。

沸点

熱を加え続けることによって、液体が一定温度のまま気体へと状態変化を起こします。この、熱エネルギーが物質の状態変化のエネルギーとして費やされる物質固有の液温のことを沸点と言います。

ただし、沸点は外圧の変化によって変化します。
それは、液体から気体になると言うことは液体表面から空気中に飛び出すと言うことですので、飛び出す為のエネルギーが必要です。
常圧で100℃が沸点である水ですが、この水の周りに圧力をかけてゆくと100℃になっても沸騰しません。それは、水が100℃になるエネルギー程度では、その圧力の中では気体へと変化することが出来ないということです。
さらなる加熱が必要となります。そうすると、水はさらに温度が上がるのです。

水が100℃以上にならないのは、そういう物質だからなのではなく、1気圧の条件下では100℃に達すると気体へと変化するエネルギーとして加熱エネルギーが使われる為です。

  • 富士山の山頂では、100℃にならなくても水が沸騰する。=外圧が低ければ沸点は低くなる。
  • 圧力釜の中では水は100℃でも沸騰せず、さらに温度が上がる。=外圧が高ければ沸点は高くなる。

※ これは重要なので覚えてください。

 

水の性質

水は以外と特殊な液体で、特殊性については難しいのであまり深く考えないようにしますが、非常に蒸発熱が大きい為、つまり蒸発(気化)するときに周りから大きな熱を奪います。
沸騰している水は、その水の中のある程度の分子が気体となって飛び出そうとする現象ですが、蒸発する瞬間に周りの水が保有するエネルギーも奪ってゆきます。そのため、100℃に達してもエネルギーを奪われた水の分子は蒸発せずに残ります。だから、100℃に達しても水全てが蒸発するようなことにならないのです。

話を元に戻すと、非常に蒸発熱が大きいので蒸発することにより周りの物体を冷却する能力が高い為、消火に使用されるのです。

さて、水の三態はもう皆さんご存じの通りに「氷」「水」「水蒸気」です。

そして、この液体状態の水ですが、4℃で体積が最小となる特殊な物質です。1cm3の質量は1gとなります。

水の分子は酸素原子が一つと水素原子二つで、「H2O」と書きます。
これが分解されると酸素と、水素に分かれます。酸素は事態は燃焼しませんが、支燃性が強く他の物質を燃焼させる物質です。水素は可燃性で全ての物質の中で最も軽い物質です。どちらも無色透明、無味無臭です。

水の性状として覚えておくべきは次の4つです。

  • 酸素原子1個と水素原子2個。
  • 水は「氷」「水」「水蒸気」の三態がある代表的な物質。
  • 4℃で体積が最小となり、1cm3の質量は1g。
  • 水の蒸発熱(気化熱)が非常に大きいので消火に利用される。

 

比重

書いて字のごとく、重さを較べることです。従って、基準となる重さがあります。

勘のよい方はわかると思いますが、前項で説明した「水」がその基準となります。

基準なので、決まりがあります。
「常圧(1気圧)で液温4℃における純粋な水1cm3の密度」です。密度は質量/体積で単位はg/cm3です。

そんなに難しく考える必要はありません。皆さんは重さと覚えていれば問題ありません。ただし、中抜き文章問題などで出題されたら困りますね。やはり、密度と言うことで記憶しておきましょう。

さて、水が基準なのはわかりましたね?

例えば、ガソリンの比重は0.65~0.75と軽い為、水に浮きます。油類は大抵軽いので水に浮きます。このあたりの事は以外と重要で、消火の方法に係わってきます。簡単に説明すると、水に浮くと言うことはガソリンによる火災が発生した際に、水を注ぐと浮いて流出が始まります。水に浮いたまま火が付いたガソリンが流れ出てしまうのは、想像しただけでも危険なことがわかりますね。だから、第4類の物質の消火に注水消火は不適切なのです。霧状にして噴霧する消火方法を用いることのできる物質もあります。

第4類危険物の水との比重関係一覧

 

水よりも重い物質(沈む)

水よりも軽い物質(浮く)

特殊引火物 二硫化炭素 ジエチルエーテル
アセトアルデヒド
酸化プロピレン
第1石油類
非水溶性
無し ガソリン
ベンゼン
トルエン
酢酸エチル
メチルエチルケトン
第1石油類
水溶性
無し アセトン
ピリジン
アルコール類 無し メチルアルコール
エチルアルコール
ノルマルプロピルアルコール
イソプロピルアルコール
第2石油類
非水溶性
クロロベンゼン 灯油
軽油
キシレン
ノルマルブチルアルコール
第2石油類
水溶性
酢酸 無し
プロピオン酸
アクリル酸
第3石油類
非水溶性
クレオソート油 重油
アニリン
ニトロベンゼン
第3石油類
水溶性
エチレングリコール 無し
グリセリン
第4石油類 水より軽いものが多い
動植物油 すべて水に浮く

※ ちなみに比重には単位がありません。
    水の密度を1としたときの物質の密度なので、単位がないのです。

 

気体の場合の比重とは

気体は危険物の範囲外ですが、基礎物理学として基本的なことは試験に出題されることがあります。
なぜ気体のことを学ぶかというと、揮発性の液体危険物の蒸気が火災などの事故につながる危険性があるからです。

それでは、どういった場合に危険なのでしょうか?

それは、滞留する場合であり、それが下に溜まるのか上に溜まるのかがわからないと、事故の予防が出来ません。そして、上にゆくのか下にゆくのかは「空気」よりも重いか軽いかで決まります。

液体比重も気体比重も、一番身近なものを基準として用いただけに過ぎませんが、そういう決まりですので覚えてください。

ちなみに、ガソリンの蒸気は比重が3~4と重い為に、床面に溜まります。第4類の可燃性液体の蒸気はすべて空気より重いです。

空気は1㍑の重さ(約1.293g)の密度が基準です。空気は混合物なので、いろんな物質を含んでいます。
窒素(N2)78%、酸素(O2)21%、アルゴン(Ar)0.93%、二酸化炭素(CO2)0.035%等々で他にもたくさんの気体が含まれています。

余談ですが、大気中の二酸化炭素は温室効果ガスとしては非常に少なくその力も弱いです。太古の大気のように数%~数十%二酸化炭素があれば別ですが、地球温暖化の原因にはなりません。いい加減に嘘はやめてほしいものです。恐竜が居た時代は、二酸化炭素も数%あり、気温もずっと高かったのに、その後氷河期が来てしまいます。隕石で恐竜が滅んだのかもしれませんが、氷河期に突入したのは地球の周期的な現象です。基本的に二酸化炭素は地球上で増えることはありません。地球外から酸素と炭素が送り込まれない限り、その量は地球上で一定なのです。人間の活動により二酸化炭素が増えているような嘘の喧伝にはうんざりします。それよりももっと本当のことをみんなが学んで、論議できるような世界になってほしいものです。

さて、閑話休題で二酸化炭素における地球温暖化への影響のことに触れてみました。話を戻します・・・。

そう思いましたが、物質の状態変化についてはここまでですね。 

 →  →

まとめ

  • 沸騰とは内部からも液体が気体となる激しい蒸発現象のことである。
  • 沸点は外圧の変化により変化する(例をよく覚えること)
  • 水の性状として覚えるべき4つのポイントがある(忘れた人は前に戻ってよく読み直しましょう)
  • 比重には2つあり水を基準とする液体や固体に対するものと、空気を基準とする気体に対するものがある。
    水が1気圧4℃の時の密度1g/cm3で空気1気圧0℃の時の密度1.293g/
  • 大気は、窒素(70%)が大部分を占め、次に多いのは酸素(20%)。